神保町付近に行くと必ずと言っていいほど立ち寄るマイ・フェイバリット古書店、キントト文庫。ポップな金魚のデコレーション、レトロな雑貨が所狭しと陳列されているのがまず目を引きますが、だまされてはいけません(?)。個人的に目当てとしているのは、もっとダークな古書のラインナップ。
きっかけは、法医学のめりこみの嚆矢となったこの本。
Forensic Filesが米国の法医事情学に目を開かせた番組ならば、このテキストは日本の法医学史に興味を持たせてくれたと言えます。
この本自体は、キントト文庫では買っていないのですよ。実は初訪問時、同じ本をキントト文庫で目にしながら、そのときはちょっと怖くて手が出せず、購入を見送ってしまったのです。しかし、やはり気になって仕方がない。ネットオークションや地元の古書店を回っても見つからず、主人に相談して、有休を取った主人と一緒に図書館へ足を運んでOPACで必死に調べ上げてやっと題名が分かってAmazonでタイミングよく購入したという経緯があります。
なお、この出来事以来、気に入った古書はその場で買うこととしています。古書は、しまむらの商品以上に一期一会ですので。
長くなりましたが、その初訪問時時に、この古書店は犯罪・法医学関連のコーナーが充実しているんだな、と印象に残りました。今夏訪問時には、地元・神田の警察史の本もありました。今年は買い漏らしがないよう、じっくりと同店で品定めをした結果、以下3冊を購入。
この中でも『法医学図説』は一番の買い物。図説とあるとおり、写真やイラストが満載です。何の写真かって?それは題名からお察しくださいませ。
この本は「読む法医学から見る法医学へ」をモットーに、科捜研技官として第一線の警察官と身近に働く平島侃一博士と、東京医大の法医学教授佐藤文一博士が生み出した解説書です(昭和40年5月発行)。実際に捜査を手がけるが同時に多忙な警察官にとってわかりやすいレイアウト・説明を心がけており、左は文章、右は図表や写真という構成をとっています。コンパクトに要点をかいつまんでいるので、なるほど文系な私でも読みやすいです。「法医学とは」「現場とは」と、捜査の基本の「き」から始まり、死体観察、損傷、窒息、中毒その他、妊娠・性犯罪、鑑定資料の扱い方につきノウハウや心得が掲載されています。「眼を開き、耳を塞げ、口を閉じよ」が現場の心構えとして記されています。最初の2文はフランス法医学者ズベルジー博士のもの、最後の文は同じくフランス出身のブルーアルデル博士が付け加えたもので、フランスにおける捜査鑑識課員の座右の銘となっていたと、説明されています。
そりゃまあ、DNAの「D」の字もない時代なので、ノウハウは現代の犯罪捜査には不向きではありますが、時代の匂いを感じるところに私は萌えるのです。それに、CSIマイアミのホレイショ・ケインやボディ・オブ・プルーフのDr.ハントが活躍するずっと前からわが国でも色んな人が地道に正義を履行し真実を追究していた事蹟を見るだけでも胸が躍りませんか?
いわゆる胸熱だったのが、著者らのオリジナル研究「衣服の崩壊進行度」。木綿等の検査材料が屋外・水中・土中に放置されるとどれくらいの期間で崩壊するかを研究したものです。ラシャが最も丈夫という結果が出ています。
死体観察のセクションで、「手から職業のヒントを得る方法」を伝授する表。女髪結、桶職、傘職…今ではとんとお目にかかれない職業です。次ページには荷車挽、画師、三味線弾も。今ではタブー視されている仲士という表現もありました。
ちなみに洋裁は「臀部発達し、両足背及踝下に座タコありて猫背なるもの多し(特に和裁に多い)」のだそう。ハンドメイド愛好家としては、猫背は気をつけないと!
受験参考書風な工夫もなされています。ページ下には一問一答が印刷されているのです。
私は結構真面目に解いています。
個人的な感覚としては、同書のごく初期にある「死斑・死体硬直・革皮様化」の概要が理解できると、その後の中身がスムーズに頭に入ってくる気がしました。
ただ、先日のエントリーにある洋書ほど安くはなかったけどね。もちろん購入について後悔はしていませんが、高かった…古い図鑑以外では最も高値だったかも…リアルタイムで購入していたら1,300円だったそう…でも、この年の大卒初任給が22,553円だったそうなので、当時でも高い買い物だったのかな。特に刑事にとっては。
キントトでの購入の経緯※ブログ主はカピバラのイメージでお送りいたします。
(1)主人が最初に見つける→6480円の値札を見た私は及び腰→値札の下の注意書きを読むよう促す主人
(2)そこには、「死体写真多数」との注意書きが→布団が吹っ飛んだ(フィクションです)
(3)購入
素朴な金魚のくせに…キントト、おそろしい子!(おそろしいのはお前だろ)なお、残りの2冊についてはまた後日レビューしたいと思います。








0 件のコメント:
コメントを投稿